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2007年1月の記事

ROCKフィンランド語講座が終了

2006年度ROCK フィンランド語講座2006年4月から始まった麗澤大学の社会人向けエクステンション講座 「麗澤オープンカレッジ (ROCK)」 で,フィンランド語講座を1年おこないました (全24回)。何しろ常磐線各駅停車の南柏駅徒歩15分という立地でフィンランド語なんていうマイナーな言語に関心がある人など来るのかしら,と半ばあきらめていたのですが,果たして10名あまりの方が最後までお付き合いくださいました。

語学の教員としては何とも経験の浅い私,「語彙が覚えられない」「練習問題がもっとほしい」など,いろいろなコメントもいただきました。熱心な生徒さんには,私の本にあった間違いまで指摘してもらったり (わはは)。来年度もうまくいけば開講されますので,その時にはもう少しコミュニケーション練習重視で,といきたいところです。(来年度の講座に関するお知らせは,後日 ROCK ホームページ などに掲載される予定です。最新情報をお知らせする メールマガジン のサービスもあるそうですので,ご利用ください。)

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フィンランド語日本語辞典

幡野さん著『フィンランド語日本語辞典』フィンランドでフィンランド語日本語辞典を自費出版されている方から,辞書の最新版が届きました。幡野さん,ありがとうございます。少しずつ改訂・増補を続け,現在見出し語は4万9千語まで増えたそうです。2004年夏版からは単語の活用形に関する情報 (権威あるフィンランド語辞書である Suomen kielen perussanakirja の活用情報を利用しています) も加わり,便利に利用できる辞書になっています。

幡野さん著『フィンランド語日本語辞典』を開いたところ (131KB)別ページにある フィンランド語辞書に関する情報 の中で入手方法を紹介しています。ご関心のある方はどうぞご利用ください。

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「フィンランド・メソッド」と「グローバル・コミュニケーション力」

小学校一年生の姪が,誕生日に本が欲しい,とのことで本屋さんを巡っていたところ,「『フィンランド・メソッド』で親子で100冊本を読もう」と謳った本が目に止まりました (北川達夫監修,フィンランド・メソッド普及会編 (2006) 『親子で書こう!100さつ読書日記』 発行:経済界. ISBN-13: 9784766783810)。1冊読むごとに,親子でその本について対話をして子供から読書の感想を引き出し,読書日記をつけていきましょう,というもので,幼児から小学校低学年程度まで,日本語で出されている本 (翻訳も含む) が100冊,シールつき (!) で推薦されています。この本は,フィンランドの小学生がつけている読書日記をモデルにしたものということです。(ちなみに,姉妹書として小学生むけの『小学生100冊読書日記』 (ISBN-13: 9784766783742) も発売されています。)

この本の狙いは,子供に読後の感想を求め,さらに「どこが面白かった?」「どうして面白かった?」というふうに,対話によって感想を具体的にしていきく訓練をしましょう,ということのようで,「フィンランド・メソッド」はこのような対話法を指しているようです。「どうして?」という問いで考えを深める方法は,フィンランドの国語教育でよく見られるものだそうで,フィンランドの小学生の読解力の高さはこの方法で訓練されているところが大きいと監修者らは考えているようです。フィンランドの図書館利用率の高さ,一人が読む読書量の多さも,まずは100冊めざしましょう,というこの本のコンセプトに影響を与えているに違いありません。

フィンランドが OECD による最近の 学習到達度調査 (PISA) において,2回連続読解力世界一であったことはよく知られています (これについては以前 記事 として紹介しました)。『親子で書こう!100さつ読書日記』 の監修者らは,「フィンランド・メソッド」を紹介する書籍 (北川達夫 & フィンランド・メソッド普及会著 (2005) 『図解フィンランド・メソッド入門』経済界. ISBN-13: 9784766783476) も刊行しています。それによれば,フィンランド式の国語教育は「グローバル・コミュニケーション力」を身につける教育であり,「日本の学校では,グローバル・コミュニケーション力の教育をおこなっていません。そもそも,日本の教育界には,そのための教育メソッド自体が存在しない」(p. 24) と述べられています。

そもそもグローバル・コミュニケーション力とは何でしょうか?著者らによれば,この力は国際的に通用するコミュニケーション能力で,「相手がどこの誰であろうと,自分の言いたいことを理解させる能力。そして,相手がどこの誰であろうと,その言うことを理解する能力」(p.18) だそうです。先ほどの読書日記で,「どうして?」という問いで考えを深めさせる方法は,相手の立場に立って考え,高度な議論をおこなうための基礎訓練として,フィンランドの国語の授業で徹底的におこなわれているというわけです。

日本人は読解力というと,書かれたものを読んで正確に理解することに終始しがち。PISA に現れた読解力の違いは,相手がどうしてこのような意見を持っているのかを把握し,その理由について議論する能力の違いであり,日本の (少なくとも「国語」の) 教育ではこの能力を訓練する場がない,という見方には,一理あるような気がします。(フィンランド以外の北欧諸国の教育はどうなんだろう,ということがよく分かっていない私には,「フィンランド・メソッド」という呼び名は,ちょっと鼻につくのですけどね。)

ちなみに,後者の本で「カルタ」と呼ばれている,フィンランドの国語教育でよく用いられているという発想法は kartta 「地図」のことです (恐らく日本人に親しみやすいよう,あえて「カルタ」と呼んでいるのだと思いますが,イメージはずいぶん違います)。正式には käsitekartta 「概念マップ」 [フィンランド語のページ Wikipedia] や ajatuskartta 「アイディアマップ」と呼ばれ,キーワードを中心に自由に関連する言葉やイメージを描いていくこの手法,もともとイギリス人のトニー・ブザン氏 (Tony BUZAN, 1942-) が1960年代に開発したブレインストーミングの手法「マインドマップ Mind Maps ®」 [Wikipedia] を手本にしているそうです (前掲書 p.28,ただし,英語の Wikipedia の解説によれば,ブザン氏が提案するルールに厳密に従わないものを指して idea map ということがあるようです)。マインドマップはもともと記憶力の訓練やアイディアメモの効果的な作成などを意図して作られたもの,ということですが,フィンランドでは子供の教育に応用しているところが非常に新鮮です。(なお,日本語でのマインドマップの書き方は,伊藤賢さんの mindmap.jp に詳しく紹介されています。また『図解フィンランド・メソッド入門』にも簡単な紹介があります。)

さて,話が前後してしまいましたが,『親子で書こう!100さつ読書日記』 には,ざっと見たところ,マウリ・クンナス Mauri Kunnas [Amazon.jp] の絵本 (『大時計のおばけたち』『サンタクロースと小人たち』,いずれも偕成社刊,稲垣美晴さん訳) が2冊紹介されているだけで,フィンランドの本自体はあまり紹介されていませんでした。結局,姪っ子には,読み終わったらまた何か送ってあげられるように,と中島和子さんの「ベンチになったまじょ」のシリーズ [Amazon.jp] と寺村輝夫さんの「こまったさん」シリーズ [Amazon.jp] から1冊ずつ選んで送りました。他によいシリーズがあったら,どなたか教えてください。(「こまったさん」は1年生にはまだちょっと難しすぎたかもしれませんね...)

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iTunes 7

Itunes_7_dl2

報告が遅くなってしまいましたが,iTunes のバージョンが新しくなりました。以前書いた,フィンランドのポッドキャストサービスからサイズの大きいポッドキャストファイルをダウンロードする際に起こる接続タイムアウトの問題が起こらなくなったようです (時間はちょっとかかりますが)。

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著作権関連の話題が多数

年が変わってから,著作権関係のニュースがいくつか新聞紙面を飾りました。(以下の 著作権法 各条項は メディア教育開発センター (NIME) の「著作権関連情報データベースシステム」の 「著作権に関する知識」の情報にリンクしています。)

まず,(掲載日が前後しますが) 政府の 知的財産戦略本部 が策定を進める「知的財産推進計画2007」に関連する話題が2つ。1つ目は,著作権法の例外項目 (許諾を得ずに複製や編集が認められる著作権の制限項目) に「検索のための複製や編集」を盛り込むことが政府で決められた,という話題 (2007年1月6日朝日新聞 など)。これまで,私的使用のための複製 (30条) や正当な引用 (32条) のほかは,

  1. 図書館などでの複製 (31条)
  2. 学校その他の教育機関における複製 (35条)
  3. 試験問題としての複製 (36条)

などに制限されている著作権の制限事項に,著作物からの引用をデータベースとして蓄積することを含める,というもの。Google や Yahoo! など,著作権法上の問題からデータベースを海外に設置せざるを得ない現状を改善することが目的ということです。

次に,絶版の出版物を許諾なしにインターネット上に公開できるよう著作権法を改正するというもの (2007年1月5日 日経新聞)。非営利目的の専門書の公開などを目的にしているそうで,公開する側が一定の対価を支払うことになるそうです。教科書等に著作物を掲載する場合に保証金を支払う場合 (33条) と同様の方法ですね。これにより,研究利用のための文献の電子化とデータベースの整備が進むことになるのでしょうか。電子テキストを研究資料として活用している私にとっても,これからの方向性が気になるところです。

最後に,現在著作権者の死後50年と決められている著作権保護期間を70年に延長する,という方針に反対する署名運動青空文庫 が始めた,というニュース (2007年1月5日 ITmedia News)。青空文庫は著作権の切れた作品などをインターネット上に無償で公開しているボランティアベースの電子図書館で,EU や アメリカ [外国著作権法令集,(社) 著作権情報センター] の動向に合わせ,法律上の足並みを死後70年に統一しようという動きに対し,著作権の存続しない著作物の自由な利用を推進する立場から反対を早くから表明していました。

ちなみに,現在のフィンランドの著作権法では,フィンランド語のページ 著作権法 Tekijänoikeuslaki [フィンランド語のページ フィンランド法令バンク FINLEX] の「著作権の有効期間 Tekijänoikeuden voimassaoloaika」 (43条) にあるように,70年が保護期間になっています。これは,フィンランド語のページ 1961年7月に制定された同法 の条項 (当初の保護期間は現在の日本の法律と同じ50年) が,1993年のEUの方針 (Council Directive 93/98/EEC 英語 | フィンランド語のページ Neuvoston direktiivi 93/98/ETY, 出典 EUR-Lex) を受け,1995年に改訂されたものです。改正の流れなどは,Jukka Korpela さんのリソース フィンランド語のページ著作権法の歴史 (と未来) Tekijänoikeuslain historiaa (ja tulevaisuuttakin)」 に詳しく説明されています。

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