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Japanin kruununprinssi haluaa olla tavisHelsingin Sanomat の最近の記事 (ロイター発 6月15日) で,日本の皇太子がこのように形容されていました。tavis はフィンランド語の口語で「平凡な人」,tavallinen ihminen を表す言葉です。日本語に訳すとすると「日本の皇太子はフツーでいたい」といった感じでしょうか。悲哀を感じさせる表現です。

フィンランド語では,書き言葉 (kirjakieli) と話し言葉 (puhekieli) で全く異なる語彙が使われることがあり,書き言葉だけを勉強した人は恐らくショックを受けると思います。tavis のような -is で終わるパターンは,その中でも比較的類推の効くものだと思います。いくつか例を挙げましょう:

  • futis < jalkapallo (eng. football) 「サッカー」
  • julkkis < julkisuuden henkilö 「有名人」
  • kokis < Coca-Cola 「コカコーラ」 [ Wikipedia ]
  • pehmis < pehmojäätelö 「ソフトクリーム」
  • symppis < sympaattinen (eng. sympathetic) 「思いやりのある,情の深い」

-is で終わる単語は子音で終わっているので,その語形変化には以下のような特徴があります:分格形は -ta/-tä を付けて (tavis-ta),属格形は最後の skse (複数形は ks + 複数を表す i) に変えて語尾をつけます (tavikse-n 《属格形》,taviks-i-a 《複数分格形》)。子音で終わる単語はしばしば子音階程交替を含むため,変化が複雑なのことが多いのですが,-is で終わる口語は子音階程交替が起こりませんから,シンプルです。

これらの口語はもともとヘルシンキを中心とした地域 (Uusimaa) の「都会的」な表現ですが,最近のメディアの発達と普及もあり,フィンランドの大部分で通じます (フィンランドには各地に方言があり,日常会話でどの程度使われるかには違いがあるとは思いますが)。

ちなみに,現在のフィンランド語の口語はいわゆる「ヘルシンキ方言」 (stadin kieli, stadin slangi) とは別物です。もっとも,話す相手や場面によって語彙を使い分ける,というやり方は,stadin kieli でも同様です。日本語の方言は,といえば,共通語の普及に伴って意識的な語彙の切り替えをやめ,方言語彙を捨てつつあるような気がするのですが,これは田舎を離れてしまった自分の言葉への反省から出ている思い込みでしょうか...

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