フクロウ大学と日本の大学
フクロウたちが集う「フクロウ大学」を舞台に,学生と教員が大学とは何かを真剣に語り合う,一風変わった本『大学生の勉強マニュアル―フクロウ大学へようこそ―』 (ナカニシヤ出版,中島祥好・上田和夫著,2006年3月発行) を読みました。フクロウをキャラクターにした大学生の読み物と思っていたら,とんでもない,学ぶ姿勢,大学教員との付き合い方はもとより,日本の大学改革への疑問を正面から議論し,大学教育とそれに携わる教員を叱咤激励する章 (「フクロウ大学の夢―大学生の勉強マニュアル;教員,研究員むけの解説」) まである,真剣な本でした。
今の大学の状況で,現代言語学の基礎を築いたスイスの言語学者ソシュールのような業績は出るのだろうか,という問い (pp.77-79) には,どきっとさせられました。ソシュールは,20世紀の思想を席巻したともいえる多くの概念を,学生への講義を通じて,つまり学生への教育を通じて発展させたわけです。「いま手にいれたいものは,手の込んだ魔法ではなく心の翼である。学問,芸術は,種も仕掛けもない驚きに満ちており,それを知るために求められるのは,風に乗って天空を舞うような心の持ちようである」(p.81) ―巨視的な視点が教育に「こそ」必要であることを,つくづく考えさせられました。
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